1982年5月24日月曜日

上高地

出発したら、まず行こうと思っていたのが上高地です。ここも何度も自転車で訪れたことが有ります。ですので、その前の大難関もよ~く判っていました。

この日の朝、「あそこを自転車で行くのか?」と心配そうな友人に「大丈夫、今迄何回か通ったことがあるから。」
しかし、以前はロード、今回は重装備のキャンピング。条件が違いすぎるのですが、そこを行かなきゃ上高地はないので、8:30 出発しました。

目の前がいきなり登りなので、一旦平湯バスターミナルまで戻り、ペダルをくるくる回しながらペースを掴み、そのまま急坂へ突入しました。永遠に続くのではないかとも思える辛い上り、止りそうになるような急勾配を必死に登ります。昨日は押してしまいましたが、この日は、休んでも絶対押さない、と決め安房峠を目指します。顔からぽたぽたと汗が落ちます。辛くなると足を着き、呼吸を整えてまた漕ぎ出す。ギアがぎりぎと軋みます。

上りの苦しみが快感に変りはじめ、顔がだんだんニヤケだしたころ、切り通しが目に入りました。やっと来た。



到着。何回来ても良いですね。ちなみに、今現在(2004年)、既に安房トンネルが出来ているので、ここを通ることはないのですね。少しさみしいですね。

誰も居ないので、三脚を使って余裕?の撮影。

安房峠からの眺め。乗鞍岳が見えます。





ここから上高地の入口まで、九十九折りの道を一気に下ります。あぁもったいないけど、また来るかんね。

上高地に入るには、釜トンネルを通らなければいけません。1車線分しか無いので、交互通行の信号が変るまで暫く待ちます。

釜トンネルの中は電気も無く、思いのほか長く出口が見えないので、真ん中付近は完全な暗闇となります。路面は全然見えず、まるで空を飛んでいるような錯覚をおこします。ダイナモランプとバッテリーランプ、それとヘッドランプを点けて進みます。この道は本当に恐かったです。

12:00 上高地着

上高地に着くと、別のサイクリストに会いました。河童橋で記念撮影です。



大正池からの眺め


 水がつめたい梓川


 乗鞍岳、焼岳を望む



 しばし上高地を散策した後、小梨平にテントを張りビールなど飲んでくつろいでいると、フランス人のカップル出現。やはり自転車で日本中を旅行中らしい。英語だったので、完全には判りませんでしたが、たぶんそう言ってたと思います。


今日はごはんを炊いて、何故かそのままチャーハンを作りました。

満腹になって転がっていると、先程のフランス人のカップル再登場。彼等の泊まっているキャビンに招待されて、英語、フランス語、日本語をまじえたへんてこな会話が始まりました。

彼等は僕の地図を広げ、「#☆◇*□???」何か言います。僕はというと、英語がさっぱりなので「う~ん?」と唸るだけ。すると「OK、OK」と笑いながら地図を返してくれます。

今度は彼等の地図を広げ、また「※◎☆#▽???」何か言います。僕はというと英語がさっぱりなので「う~ん??」と唸るだけ。すると彼等は「OK、OK」と言うと、笑いながらその地図をくしゃくしゃと丸め、「basket!」などと言いながら、屑籠に放り投げます。

今思うと、こういうことなんですね。

「な~、君のこの地図まだ使う?。要らなかったら、記念にくれない?」。僕が「う~ん」と悩むのを見て、「OK、OK。まだ使うのならいいのよん」。

「ね~、僕達のこの地図もう使わないのだけど、もしよかったら記念にもらってくんない?」。僕が「う~ん」と悩むのを見て、「OK、OK。要らないのなら、捨てるね。(くしゃくしゃ)おりゃ!シュート」。
英語は少しでも出来た方が良いですね。とても残念なことをしました。

夜も更けたので、退散。明日は早々にここを出発して、日本海を目指します。

この日は殆ど走っていません。20km程でしょうか。しかし安房峠越えは、かなり効きました。