1982年8月28日土曜日

大量飲酒的日々

朝ゆっくり出発。海を眺めながらの快調に走る。浜益からどう行こうか迷う。

当時の地図だと、このまま北上すると海岸の道は寸断、若しくはかなりの難所と見た。かと言って内陸への国道451号線もアップダウンが有りそうだ。しょうがないので、浜益の、川下海岸のキャンプ場で早めの幕営とし、ゆっくり考えることにした。

北海道はもう夏も終ったらしく、海水浴場と思われるこの浜辺には人っ子一人居ない。売店も開いていない。午後の風に当りながら、予め買っておいたビールを飲む。心静かなひととき。

と、そこへ、「どどど!」と砂埃をあげて1台の乗用車が出現した。僕の近くにそれは停車し、なんだか恐そうなおにいさんが降りて来た。
「キャンプ?」
「そ、そ、そうです」
「俺達もなんだ。近くに来て良い?」
「どどど、どうぞ」。

すると車からどやどやと一家族が降りて来た。4、5歳位の子も居て、なんだか一安心。彼等は僕のテントの隣りにぴったりとテントを張って、宴会の準備を始めた。
そんな様子を眺めながら、ビールを1リットル程飲みほして、僕も少々良い気分になってきた。
「どう。一緒にやらない?。食いもんもいっぱい有るし、酒もいっぱいあるし」
「でわ、お言葉に甘えて」ということで、初秋の海岸大宴会が始まった。
だいぶ酔いが回ってきたところで、さっきから気になっていたことを聞いてみた。
「いやぁ、最初は外国人かと思いましたよ。」
「あぁ、そうだろ。俺たちは"アイヌ"なんだ」。
なるほど、そうなのか。初めて会ったのだけど、彼等の顔はほりが深く、目がぱっちりと大きくてとても魅力的だ。



一人だけ違うかんじの人が居たが、彼は結婚して東京からこちらに来たらしい。歌志内市に住んでいて、奥さんの両親と同じ社宅に住み、お父さんと同じ炭鉱で働いているそうだ。どうりで威勢がいいと思った。


とても荒っぽくて、口が悪くて・・・、でもとても楽しくてやさしい人達でした。
夜中まで宴会は続き、やがて騒ぎくたびれて眠りについた。